今から10年前、長女が小学3年生の春、ソフトボールのスポーツ少年団に入団しました。それが、私と審判の出会いでした。 最初は、多くの保護者と同じように『お手伝い』のつもりで始めた練習試合の審判。でも、そこで見た光景が私の意識を変えました。

  グラウンドには、泥だらけになって白球を追う娘やチームメイトの姿。そして、熱心に指導する監督。 「みんな、本気なんだ。」 その姿を目の当たりにした時、適当なジャッジは絶対にできないし正しくジャッジしてあげたいと強く思いました。娘たちの一球、一打席を無駄にしないために、私は審判資格3種を取得し、ルールを猛勉強しました。

  真剣に審判員としてグラウンドに立つようになると、手に持っている市販のインジケーターに違和感を覚えるようになりました。 「もっと手に馴染む形はないのか?」「クリック感をもっと明確にできないか?」 精密加工の世界で生きてきた自分の中に、職人としての『血』が騒ぎ始めました。選手たちが全力でプレーしているなら、私は『最高の道具』でそれに応えたい。

 独立し、家族を支えながら歩み始めた「奥千工舎」。 住宅ローンもあれば、大学生と高校生の娘もいる。そんな厳しい状況下でも、妥協せず「本物」を作りたい。娘の入団から始まったこの物語は、今、全点アルミ削り出しの『魂のインジケーター』という形になろうとしています。

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